『華やかなウィーン社交界~ウィンナワルツの魅力について

 

 ≪ヨハン・シュトラウス2世とウィンナワルツの微妙な揺れ≫

 

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートを、毎年テレビで観るのを楽しみにされている方は多いのではないでしょうか。もちろん、私もその中の一人です。

 

アンコールには「美しき青きドナウ」と「ラディツキー行進曲」が演奏されるのが恒例になっていますね。

 

何よりこの日は演奏だけでなく、宮殿で「ウィンナワルツ」を踊る映像も見れるのもいいですよね。

 

私は社交ダンスには疎いのですが、あの美しい宮殿内で優雅にダンサー達が踊っている様子は、見ごたえがありますね。

 

 

そもそも「ウィンナワルツ」は、18世紀からドイツ舞曲を母体にして、19世紀のウィーンの社交界で独特の発展を遂げ、ヨーロッパで好まれたダンス用の音楽です。この「ウィンナワルツ」の様式を完成せたのが「ワルツ王」と称されるヨハン・シュトラウス2世ですね。

 

彼は、生涯で500を超える曲を残しました。

 

これは、普通のワルツとは違い3拍子が3拍均等の長さではなく、2拍目を少し速くつめて1拍目にずれ込むように演奏されることにより、独特の流動感を生んでいます。


 

≪ウィーンの社交界について≫

 

毎年ウィーンでは2月のカーニバルの頃、ウィーン国立オペラ座で大イベントの舞踏会「オーパンバル」ドイツ語で「オペラ舞踏会」が開催されます。

 

その始まりは「会議は踊れ」で知られるメッテルニヒの時代、1814年のウィーン会議です。

 

これは「デビュタント(デビューする人)」がこの日、社交界デビューとなり大人の社会に仲間入りするお披露目の日です。

 

昔は両家の子息や令嬢に限定されていたのが、今は結構オープンな感じになっているようです。

 

古くは、イギリスで18歳の誕生日を迎える女性達が社交界デビューするお披露目パーティーとして始まったものです。

 

華やかな社交界デビューはお見合いパーティーの元祖だったんですね。

 

そういえば、テレビで放映されていた「ダウントンアビー」という19世紀のイギリスの貴族社会を描いたドラマで、主人公メアリーの従姉妹に当たる女性が社交界デビューする話の中で、女王陛下に謁見する場面を見たばかりでとても興味深かったです。


 

≪ウィンナワルツの代表曲≫

 

ウィンナワルツの曲といえば、シュトラウス2世が作曲した「ウィーンの森の物語」や「ウィーン気質」そして「皇帝円舞曲」があります。

 

 

この「皇帝円舞曲」はべルリンの新しいコンサーホールのこけら落し演奏会でドイツ皇帝ヴィルヘルム2世とオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ(皇妃が有名なエリザベート)の二人の皇帝が臨席するので作曲されたものです。

 

私はというと「春の声」が好きです。これは、テレビでソプラノの歌が加わったバージョンを初めて聴いた時、オーケストラだけの時より華やいでいて新鮮な驚きを感じました。

 

この曲には面白い逸話があります。

 

この曲は、1882年の即興パーティーで当時71歳だったリストと同席した時、シュトラウス2世が余興でまとめ上げたそうなんです。

 

こんなところに、偉大な音楽家同士の接点があり、それによって新しい音楽が生み出されたというのが、なんとも面白いですね。

 

そのとき生み出された曲をもとに、コロラトゥーラソプラノ歌手のためにオーケストラ伴奏つきの歌曲として発表したのです。

 

現在では、歌つきではなくオーケストラだけで演奏されることが多いようですが・・・・


 

 ≪ウィンナワルツ以外のワルツ≫

 

「ワルツ」といえば真っ先に浮かぶのがショパンのワルツではないでしょうか。

 

彼は17曲のワルツを書いていますが、だんとつ「子犬のワルツ」が有名ですが「子猫のワルツ」もあるんですよ。こちらの方が7・8年前に作曲されていたんです。

 

どちらも指を速く動かす点では難しい曲ですね。

 

このワルツ集は他の彼の曲より簡単だと思われがちですが、マズルカの要素が所々使われていて結構難しいのです。

 

小さなワルツもありますが、コンサート様に書かれたようなダイナミックで変化に富んだ弾き応えのする物もあります。

 

ショパン以外に、初心者の方がよく弾かれる、ワルトトイフェルの「スケーターズワルツ」やローザスの「波を越えて」、イヴァノヴィッチの「ドナウ川のさざなみ」などの曲があります。他に、レハールのオペレッタ「メリーウィドウのワルツ」やプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の「ムゼッタのワルツ」などがあります。

 

 

そして、日本で誰も知らない人がいないくらい有名になった曲・・・・・・

 

 

浅田真央さんがフィギアスケートで使ったハチャトリアンの劇音楽「仮面舞踏会」から「ワルツ」があります。


 

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